勤務形態の種類と勤怠管理で気をつけるポイント

企業で従業員の労働時間や働く時間帯など、個々の働き方を示す「勤務形態」にはどのような種類があるのでしょうか。

勤務形態とは

勤務形態(体系)とは、明確に定義されている言葉ではありません。しかし、下記のように企業における勤務のあり方を指す言葉です。

  • フルタイムやパートタイムなど、従業員の労働時間の形態を示す
  • 個人によって始業と終業時刻が異なる「交代制」など、労働時間帯や働き方を示す

勤務形態と雇用形態の違い

勤務形態が一般的に働く時間に関する形態を指すのに対して、雇用形態とは、企業と従業員の間で結ぶ雇用契約の種類を意味します。雇用形態には次のような種類があります。

  • 正社員(基本的にフルタイム勤務だが短時間勤務の正社員が含まれることも)
  • 契約社員
  • アルバイト・パート
  • 派遣社員

勤務形態の種類

勤務形態の種類には下記が挙げられます。

◆労働時間の長さに関するもの

・フルタイム…企業が定める、正規の勤務時間帯(所定労働時間)の始まりから終わりまで働く形態。常勤とも呼ぶ。

・時短勤務…フルタイムの社員が、育児・介護等のため1日のうちに定められた所定労働時間より短く働く勤務形態。

・パートタイム…1日または1週間の労働時間がフルタイム勤務よりも短い形態。非常勤とも呼ぶ。

◆労働時間帯・働き方に関するもの

・固定勤務制…企業の就業時間に合わせて、決まった曜日・時間帯で勤務する働き方。

・交代制・シフト制…主に企業の営業時間や稼働時間が法定労働時間の1日8時間を超える場合に、時間帯を区切り交替のシフトで勤務する働き方。三交替制などがある。

・変形労働時間制…企業の繁忙期と閑散期がある程度決まっている場合、その時期に合わせて労働時間を調整できる勤務形態。「1カ月単位」「1年単位」の2種類があり、例えば1カ月単位の場合には、1カ月の労働時間を平均して1週間の労働時間が40時間以内であれば、1日8時間・週40時間を超えて勤務が可能となる。導入には、労働者代表との労使協定を結ぶことが必要(1カ月単位の場合は就業規則への記載でも可)。

フレックスタイム制…所定労働時間は決まっているが、日々の始業時刻と終業時刻は従業員が決められる働き方。

テレワーク…オフィスに出勤せず、自宅などを就業場所とする勤務形態。労働時間は雇用形態に準ずるなど、ケースにより異なる。

勤怠管理上の注意点

 

◆一人ひとりの労働時間の把握

いずれの勤務形態であっても、始業・終業時刻を正確に記録し、法定労働時間を超えないように管理することが重要です。特に交替制や変形労働制は個々により始業・終業時刻が異なるため、正しい時間を反映させることが不可欠です。

◆割増賃金は全ての労働者に支払う

勤務形態や雇用形態に関わらず、労働時間が1日8時間・週40時間を超える場合は時間外労働となり、通常の賃金の25%の割増賃金を支給しなければなりません(労働基準法第37条)。勤怠管理の際は計算に誤りのないように注意しましょう。

時代の流れとともに、テレワークの普及など、多様な働き方が広がりつつあります。自社の業種や特徴を踏まえて、従業員がより良い環境で働けるよう、柔軟な勤務形態を整備していくことが重要です。